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ECS@AWSリソース

はじめに

本サイトにつきまして、以下をご認識のほど宜しくお願いいたします。


01. ECS:Elastic Container Service

コントロールプレーン

▼ コントロールプレーンとは

コンテナオーケストレーションを実行する環境を提供する。

データプレーンのVPC外に存在している。

▼ コントロールプレーンの仕組み

ECSのコントロールプレーンは、開発者や他のAWSリソースからのリクエストを待ち受けるAPI、データプレーンを管理するコンポーネント、からなる。

ecs_control-plane


データプレーン

単一のホスト (EC2、Fargate) のOS上でコンテナオーケストレーションを実行する。

on EC2』『on Fargate』という呼び方は、データプレーンがECSの実行環境 (on environment) の意味合いを持つからである。


EKSとの機能比較

ECSの機能 EKSで相当する機能
ECSサービス + ECSタスク Deployment
Daemon型のECSサービス DaemonSet
Replica型のECSサービス ReplicaSet
なし StatefulSet
ECSタスク Pod
ELB Ingress + Service
ECSタスクの環境変数 ConfigMap
SecretManager Secret
Taskスケーリング HorizontalPodAutoscaler、VerticalPodAutoscaler
キャパシティプロバイダー + AutoScaling CusterAutoscaler、Karpenter
PodDisruptionBudget Minimum/Maximum Healthy Percent
AppMesh、ECS Service Connect Istio


02. コントロールプレーンのコンポーネント

記入中...


03. データプレーンのコンポーネント

ECSクラスター

ECSサービスの管理グループ単位のこと。

ecs_cluster


ECSサービス

ECSタスクの管理グループ単位のこと。

ECSタスクへのロードバランシング、タスクの数の維持管理や、リリースの成否の管理を実行する。

マイクロサービスは、ECSサービスを単位として作成する。


ECSタスク

▼ ECSタスク

コンテナインスタンスの管理グループ単位のこと。

ECSタスク定義を基に作成される。

ecs_task

▼ ECSコンテナエージェント

ECSタスク実行ロールを使用して、ECSタスクのライフサイクルを管理する。

Fargateの場合、ECSコンテナエージェントがプリインストールされている。

ecs_task-execution-role

▼ ECSタスク定義

ECSタスクをどのような設定値を基に作成するかを設定できる。

ECSタスク定義は、バージョンを示す『リビジョンナンバー』で番号づけされる。

ECSタスク定義を削除するには、全てのリビジョン番号のECSタスク定義を登録解除する必要がある。

▼ ECSタスクのライフサイクルフェーズ

ecs_task_lifecycle_phase

ECSタスクのライフサイクルにはフェーズがある。

ECSタスクは、必須コンテナ異常停止時、デプロイ、自動スケーリング、手動操作、の時にフェーズを持つ。

フェーズ名 説明 補足
Provisioning ECSタスクの起動前に必要な準備 (例:ENIの紐付け) があり、これが完了していない。
Pending ECSタスク内のコンテナの起動がまだ完了していない。
Activating ECSタスク内の全てのコンテナの起動が完了したが、ECSタスク全体のセットアップは完了していない。
Running ECSタスク内の全てのコンテナの起動とECSタスク全体の準備が完了し、実行中である。 コンテナの起動が完了すればRunningフェーズになるが、コンテナ内でビルトインサーバーを起動するようなアプリケーション (例:フレームワークのビルトインサーバー機能) の場合は、Runningフェーズであっても使用できないことに注意する。
De-activating ECSタスク内のコンテナを停止する前に必要な処理があり、これが完了していない。
Stopping ECSタスク内のコンテナが正常/異常に停止しようとしている途中である。
De-provisioning ECSタスク全体を停止する前に必要な準備 (例:ENIの解除) があり、これが完了していない。
Stopped ECSタスク全体が停止した。 正常停止と異常停止に関わらず、停止理由を確認できる。
https://docs.aws.amazon.com/AmazonECS/latest/developerguide/stopped-task-errors.html


ECSによるマイクロサービスアーキテクチャ

▼ マルチECSサービス

ECSクラスターに複数のECSサービスを作成する。

ECSサービスをマイクロサービス単位で稼働させる。

ただ、ECSによるマイクロサービスアーキテクチャはアプリとインフラの責務を分離できないため、非推奨である。

Kubernetes Cluster上でこれを稼働させることが推奨である。

ecs-fargate_microservices

▼ ECSサービスディスカバリー

Route53にECSタスクの宛先情報を動的に追加削除することにより、ECSタスクが他のECSタスクと通信可能にする。

ecs_service-discovery


03-02. ネットワーク

ネットワークモードとコンテナ間通信

▼ noneモード

外部ネットワークが無く、タスクと外と通信できない。

▼ hostモード

EC2のみで使用できる。

Dockerのhostネットワークに相当する。

network-mode_host-mode

▼ bridgeモード

EC2のみで使用できる。

Dockerのbridgeネットワークに相当する。

network-mode_host-mode

▼ awsvpcモード

FargateとEC2の両方で使用できるawsの独自ネットワークモード。

タスクはElastic Networkインターフェースと紐付けられ、コンテナではなくタスク単位でプライベートIPアドレスが割り当てられる。

Fargateの場合、同じタスクに属するコンテナ間は、localhostインターフェイスというENI経由で通信できるようになる (推測ではあるが、FargateとしてのEC2にlocalhostインターフェースが紐付けられる) 。

これにより、コンテナ間でパケットを送受信する時 (例:NginxコンテナからPHP-FPMコンテナへのルーティング) は、通信元コンテナにて、通信先のアドレスを『localhost (127.0.0.1) 』で指定すれば良い。

また、awsvpcモードの独自の仕組みとして、同じECSタスク内であれば、互いにコンテナポートを開放せずとも、通信を待ち受けるポートを指定するのみで、コンテナ間でパケットを送受信できる。

例えば、NginxコンテナからPHP-FPMコンテナにリクエストをルーティングするためには、PHP-FPMプロセスが9000番ポートでリクエストを受信し、加えてコンテナが9000番ポートを開放する必要がある。

しかし、awsvpcモードではコンテナポートを開放する必要はない。

network-mode_awsvpc


プライベートサブネット内から外の通信

▼ プライベートサブネット内へのデータプレーンの配置

プライベートサブネット内にデータプレーンを配置した場合、パブリックネットワークやVCP外のAWSリソースにリクエストを送信するために、NAT GatewayやVPCエンドポイントが必要になる。

パブリックサブネットに配置すればこれらは不要となるが、パブリックサブネットよりもプライベートサブネットにデータプレーンを配置する方が望ましい。

▼ パブリックネットワークに対する通信

データプレーンをプライベートサブネットに配置した場合、パブリックネットワークに対してリクエストを送信するためには、NAT Gatewayを配置する必要がある。

▼ VPC外のAWSリソースに対する通信

データプレーンをプライベートサブネットに配置した場合、VPC外にあるAWSリソース (例:コントロールプレーン、ECR、S3、Systems Manager、CloudWatchログ、DynamoDB、など) に対してリクエストを送信するためには、NAT GatewayあるいはVPCエンドポイントを配置する必要がある。

もしNAT Gatewayを配置したとする。

この場合、VPCエンドポイントよりもNAT Gatewayの方が高く、AWSリソースに対する通信でもNAT Gatewayを通過するため、高額料金を請求されてしまう。

ecs_nat-gateway

代わりとして、VPCエンドポイントを配置する。

より低額でデータプレーンがVPC外のAWSリソースのリクエストできるようになる。

ecs_control-plane_vpc-endpoint


03-03. セキュリティ

ロール

▼ サービスロール

ECSサービスがECSタスクを操作するために必要なロールである。

サービスリンクロールに含まれ、ECSの作成時に自動的に紐付けられる。

▼ コンテナインスタンスロール

コンテナのホストが他のAWSリソースにリクエストを送信するために必要なロールである。

Fargateの場合、不要である。

ecs_container-instance-role

▼ タスクロール

ECSタスク内のコンテナのアプリケーションが、他のAWSリソースにリクエストを送信するために必要なロールである。

アプリケーションにS3やSystems Managerへの認可スコープを与えたい場合は、タスク実行ロールではなくタスクロールに認可スコープを紐付ける。

ecs_task-role

*実装例*

アプリケーションからCloudWatchログにログを送信するために、ECSタスクロールにカスタマー管理ポリシーを紐付ける。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement":
    [
      {
        "Effect": "Allow",
        "Action": ["logs:CreateLogStream", "logs:PutLogEvents"],
        "Resource": ["arn:aws:logs:*:*:*"],
      },
    ],
}

*実装例*

パラメーターストアから変数を取得するために、ECSタスクロールにインラインポリシーを紐付ける。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement":
    [{"Effect": "Allow", "Action": ["ssm:GetParameters"], "Resource": "*"}],
}

▼ タスク実行ロール

ecs_task-execution-role

ECSタスク内のECSコンテナエージェントが、他のAWSリソースにリクエストを送信するために必要なロールのこと。

AWS管理ポリシーである『AmazonECSTaskExecutionRolePolicy』が紐付けられたロールを、タスクに紐付ける必要がある。

このポリシーには、ECRへの認可スコープの他、CloudWatchログにログを作成するための認可スコープが設定されている。

ECSタスク内のコンテナがリソースにリクエストを送信するために必要なタスクロールとは区別すること。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement":
    [
      {
        "Effect": "Allow",
        "Action":
          [
            "ecr:GetAuthorizationToken",
            "ecr:BatchCheckLayerAvailability",
            "ecr:GetDownloadUrlForLayer",
            "ecr:BatchGetImage",
            "logs:CreateLogStream",
            "logs:PutLogEvents",
          ],
        "Resource": "*",
      },
    ],
}

*実装例*

datadogエージェントがECSクラスターやコンテナにリクエストを送信できるように、ECSタスク実行ロールにカスタマー管理ポリシーを紐付ける。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement":
    [
      {
        "Action":
          [
            "ecs:ListClusters",
            "ecs:ListContainerInstances",
            "ecs:DescribeContainerInstances",
          ],
        "Effect": "Allow",
        "Resource": "*",
      },
    ],
}


03-04. 監視

ログ

▼ awslogsドライバー

標準出力/標準エラー出力に出力されたログをCloudWatch-APIに送信する。

設定項目 説明 補足
awslogs-group ログ宛先のCloudWatchログのロググループを設定する。
awslogs-datetime-format 日時フォーマットを定義し、加えてこれをログの区切り単位としてログストリームに出力する。 正規表現で設定する必要があり、加えてJSONでは『\』を『\\』にエスケープしなければならない。例えば『\\[%Y-%m-%d %H:%M:%S\\]』となる。
https://docs.docker.com/config/containers/logging/awslogs/#awslogs-datetime-format
awslogs-region ログ宛先のCloudWatchログのリージョンを設定する。
awslogs-stream-prefix ログ宛先のCloudWatchログのログストリームのプレフィックス名を設定する。 ログストリームには、『<プレフィックス名>/<コンテナ名>/<タスクID>』の形式で送信される。


04. on EC2

on EC2とは

EC2をホストとして、コンテナを作成する。


EC2の最適化AMI

任意のEC2を使用できるが、AWSが用意している最適化AMIを選んだ方が良い。

このAMIには、EC2がECSと連携するために必要なソフトウェアがプリインストールされており、EC2をセットアップする手間が省ける。

AMI名 説明 特に相性の良いアプリ
ECS最適化 Amazon Linux 2 ECSのための標準的なEC2を作成できる。最も推奨。
ECS最適化 Amazon Linux 2022 Amazon Linux 2よりも先進的な機能を持つEC2を作成できる。
https://docs.aws.amazon.com/linux/al2022/ug/compare-al2-to-AL2022.html
ECS最適化 Amazon Linux ECSのための標準的なEC2を作成できる。非推奨であり、Amazon Linux 2を使用した方が良い。
ECS最適化 Amazon Linux 2 arm64 arm64ベースのGravitonプロセッサーが搭載されたEC2を作成できる。
ECS最適化 Amazon Linux 2 GPU GPUが搭載されたEC2を作成できる。 GPUが必要なアプリケーション (計算処理系、機械学習系のアプリケーション)
ECS最適化 Amazon Linux 2 推定 Amazon EC2 Inf1インスタンスを作成できる。


タスク配置戦略

ECSタスクをECSクラスターに配置する時のアルゴリズムを選択できる。

戦略 説明
Spread ECSタスクを各場所にバランスよく配置する
Binpack ECSタスクを1個の場所にできるだけ多く配置する。
Random ECSタスクをランダムに配置する。


05. on Fargate

on Fargateとは

Fargateをホストとして、コンテナを作成する。

Fargateの実体はEC2である (ドキュメントに記載がないが、AWSサポートに確認済み) 。

fargate_data-plane


05-02. セットアップ

コンソール画面の場合

▼ ECSサービス

設定項目 説明 補足
ECSタスク定義 ECSサービスで維持管理するタスクの定義ファミリー名とリビジョン番号を設定する。
起動タイプ ECSタスク内のコンテナの起動タイプを設定する。
プラットフォームのバージョン Fargateのカーネルとコンテナランタイムのバージョンを設定する。 バージョンによって、連携できるAWSリソースが異なる。
サービスタイプ
ECSタスクの必要数 非スケーリング時またはデプロイ時のタスク数を設定する。 最小ヘルス率と最大率の設定値に影響する。
最小ヘルス率 ECSタスクの必要数の設定を100%とし、新しいタスクのデプロイ時に、稼働中タスクの最低合計数を割合で設定する。 例として、タスク必要数が4個だと仮定する。タスクヘルス最小率を50%とすれば、稼働中タスクの最低合計数は2個となる。デプロイ時の既存タスク停止と新タスク起動では、稼働中の既存タスク/新タスクの数が最低合計数未満にならないように制御される。
https://toris.io/2021/04/speeding-up-amazon-ecs-container-deployments
最大率 ECSタスクの必要数の設定を100%とし、新しいタスクのデプロイ時に、稼働中/停止中タスクの最高合計数を割合で設定する。 例として、タスク必要数が4個だと仮定する。タスク最大率を200%とすれば、稼働中/停止中タスクの最高合計数は8個となる。デプロイ時の既存タスク停止と新タスク起動では、稼働中/停止中の既存タスク/新タスクの数が最高合計数を超過しないように制御される。
https://toris.io/2021/04/speeding-up-amazon-ecs-container-deployments
ヘルスチェックの待機期間 デプロイ時のALB/NLBのヘルスチェックを開始するまでの待機時間を設定する。猶予期間を過ぎても、ALB/NLBのヘルスチェックが失敗していれば、サービスはタスクを停止し、新しいタスクを再起動する。 ALB/NLBではターゲットを登録し、ヘルスチェックを実行するプロセスがある。特にNLBでは、これに時間がかかる。またアプリケーションによっては、コンテナの作成に時間がかかる。そのため、NLBのヘルスチェックが完了する前に、ECSサービスがNLBのヘルスチェックの結果を確認してしまうことがある。例えば、NLBとLaravelを使用する場合は、ターゲット登録とLaravelコンテナの築の時間を加味して、330秒以上を目安とする。例えば、ALBとNuxt.js (SSRモード) を使用する場合は、600秒以上を目安とする。注意点として、アプリコンテナ作成にかかる時間は、開発環境での所要時間を参考にする。
タスクの最小数 スケーリング時のタスク数の最小数を設定する。
タスクの最大数 スケーリング時のタスク数の最大数を設定する。
ロードバランシング ALBでルーティングするコンテナを設定する。
タスク数 ECSタスクの作成数をいくつに維持するかを設定する。 タスクが何らかの原因で停止した場合、タスクを自動的に作成する。
デプロイメント ローリングアップデート、ブルー/グリーンデプロイがある。
サービスロール

▼ ECSタスク定義

設定項目 説明 補足
ECSタスク定義名 ECSタスク定義の名前を設定する。
ネットワークモード ホストとコンテナ間を接続するネットワーク様式を設定する。
互換性
オペレーティングシステムファミリー
タスクロール ECSタスク内のコンテナのアプリケーションが、他のAWSリソースにリクエストを送信するために必要なロールを設定する。
タスク実行ロール ECSタスク内のECSコンテナエージェントが、他のAWSリソースにリクエストを送信するために必要なロールを設定する。
タスクメモリ ECSタスク当たりのコンテナの合計メモリサイズを設定する。 ECSタスク内のコンテナに割り振ることを想定し、やや多めにメモリを設定した方が良い。
タスクCPU ECSタスク当たりのコンテナの合計CPUサイズを設定する。 ・ECSタスク内のコンテナに割り振ることを想定し、やや多めにメモリを設定した方が良い。
・CPUごとに使用できるメモリサイズに違いがあり、大きなCPUほど小さなメモリを使用できない。
コンテナ定義 ECSタスク内のコンテナを設定する。 JSONをインポートしても設定できる。
サービス統合
プロキシ
FireLens統合 FireLensコンテナを使用する場合に有効化する。
ボリューム

▼ コンテナ定義

ECSタスク内のコンテナ1つに対して、環境を設定する。

設定項目 対応するdockerコマンドオプション 説明 補足
cpu --cpus タスク全体に割り当てられたメモリ (タスクメモリ) のうち、該当のコンテナに最低限割り当てるCPUユニット数を設定する。cpuReservationという名前になっていないことに注意する。 CPUユニット数の比率に基づいて、タスク全体のCPUが各コンテナに割り当てられる。『ソフト制限』ともいう。 https://docs.aws.amazon.com/AmazonECS/latest/developerguide/task_definition_parameters.html#container_definition_environment
https://qiita.com/_akiyama_/items/e9760dd61d94b8031247
dnsServers --dns コンテナが名前解決に使用するDNSサーバーのIPアドレスを設定する。
essential コンテナが必須か否かを設定する。 trueの場合、コンテナが停止すると、タスクに含まれる全コンテナが停止する。
falseの場合、コンテナが停止しても、その他のコンテナは停止しない。
healthCheck
(command)
--health-cmd ホストからFargateに対して、curlコマンドによるリクエストを送信し、レスポンス内容を確認。
healthCheck
(interval)
--health-interval ヘルスチェックの間隔を設定する。
healthCheck
(retries)
--health-retries ヘルスチェックを成功と見なす回数を設定する。
hostName --hostname コンテナにホスト名を設定する。
image ECRのURLを設定する。 指定できるURLの記法は、DockerfileのFROM処理と同じである。
https://hiroki-it.github.io/tech-notebook/infrastructure_as_code/infrastructure_as_code_docker_dockerfile.html
logConfiguration
(logDriver)
--log-driver ログドライバーを指定することにより、ログの出力先を設定する。 Dockerのログドライバーにおおよそ対応しており、Fargateであれば『awslogs、awsfirelens、splunk』に設定できる。EC2であれば『awslogs、json-file、syslog、journald、fluentd、gelf、logentries』を設定できる。
logConfiguration
(options)
--log-opt 各ログドライバーのオプションを設定する。
portMapping --publish
--expose
ホストとFargateのアプリケーションのポート番号をマッピングし、ポートフォワーディングを実行する。 containerPortのみを設定し、hostPortは設定しなければ、EXPOSEとして定義できる。
https://docs.aws.amazon.com/AmazonECS/latest/APIReference/API_PortMapping.html
secrets
(volumesFrom)
パラメーターストアから出力する変数を設定する。
memory --memory コンテナのメモリサイズの閾値を設定し、これを超えた場合にコンテナを停止する『ハード制限』ともいう。 https://docs.aws.amazon.com/AmazonECS/latest/developerguide/task_definition_parameters.html#container_definition_memory
memoryReservation --memory-reservation タスク全体に割り当てられたメモリ (タスクメモリ) のうち、該当のコンテナに最低限割り当てるメモリ分を設定する。『ソフト制限』ともいう。 https://docs.aws.amazon.com/AmazonECS/latest/developerguide/task_definition_parameters.html#container_definition_memory
mountPoints 隠蔽されたホストとコンテナの間でボリュームマウントを実行する。Fargateは、脆弱性と性能の観点で、バインドマウントに対応していない。 https://hiroki-it.github.io/tech-notebook/virtualization/virtualization_container_docker.html
ulimit Linuxコマンドの
--ulimitに相当


05-03. ECSタスク

サイドカー

マイクロサービスのコンテナからログを収集する場合に、AWS以外 (Google Cloud Logging) に送信するのであればサイドカーパターンでログルーター (EC2ならFluentBit、FargateならFireLens) を採用しないといけない。

ECSサービスを増えるたびにサイドカーの横展開していく。


IPアドレス

▼ ECSタスクのIPアドレス

ECSタスクごとに異なるプライベートIPが割り当てられる。

このIPアドレスに対して、ALBはルーティングを実行する。

▼ FargateのIPアドレス

Fargateは動的パブリックIPアドレス (Fargateの再作成後に変化するIPアドレス) を持ち、固定パブリックIPアドレスであるElastic IPアドレスを設定できない。

リクエストの先にある外部サービスが、セキュリティ上で静的なIPアドレスを要求する場合、リクエスト (パブリックネットワーク向き通信) 時に送信元パケットに付加されるIPアドレスが動的になり、リクエストできなくなってしまう。

そこで、Fargateのリクエストが、Elastic IPアドレスを持つNAT Gatewayを経由する (Fargateは、パブリックサブネットとプライベートサブネットのどちらに置いても良い) 。

これによって、NAT GatewayのElastic IPアドレスが送信元パケットに付加されるため、Fargateの送信元IPアドレスを見かけ上静的に扱えるようになる。

NatGatewayを介したFargateから外部サービスへのリクエスト


ECSタスクの一時起動

▼ DBマイグレーション

現在起動中のECSタスクとは別に、新しいタスクを一時的に起動する。

CI/CDパイプライン上で実行する以外に、ローカルマシンから手動で実行する場合もある。

起動時に、overridesオプションを使用して、指定したECSタスク定義のコンテナ設定を上書きできる。

正規表現で設定する必要があり、加えてJSONでは『\』を『\\』にエスケープしなければならない。

コマンドが実行された後に、タスクは自動的にStopped状態になる。

*実装例*

LaravelのSeederコマンドやロールバックコマンドを、ローカルマシンから実行する。

#!/bin/bash

set -x

echo "Set Variables"
SERVICE_NAME="prd-foo-ecs-service"
CLUSTER_NAME="prd-foo-ecs-cluster"
TASK_NAME="prd-foo-ecs-task-definition"
SUBNETS_CONFIG=$(aws ecs describe-services \
  --cluster ${CLUSTER_NAME} \
  --services ${SERVICE_NAME} \
  --query "services[].deployments[].networkConfiguration[].awsvpcConfiguration[].subnets[]")
SGS_CONFIG=$(aws ecs describe-services \
  --cluster ${CLUSTER_NAME} \
  --services ${SERVICE_NAME} \
  --query "services[].deployments[].networkConfiguration[].awsvpcConfiguration[].securityGroups[]")

# 実行したいコマンドをoverridesに設定する。
echo "Run Task"
TASK_ARN=$(aws ecs run-task \
  --launch-type FARGATE \
  --cluster ${CLUSTER_NAME} \
  --platform-version "1.4.0" \
  --network-configuration "awsvpcConfiguration={subnets=${SUBNETS_CONFIG},securityGroups=${SGS_CONFIG}}" \
  --task-definition ${TASK_NAME} \
  --overrides '{\"containerOverrides\": [{\"name\": \"laravel-container\",\"command\": [\"php\", \"artisan\", \"db:seed\", \"--class=DummySeeder\", \"--force\"]}]}' \
  --query "tasks[0].taskArn" | tr -d """)

echo "Wait until task stopped"
aws ecs wait tasks-stopped \
  --cluster ${CLUSTER_NAME} \
  --tasks ${TASK_ARN}

echo "Get task result"
RESULT=$(aws ecs describe-tasks \
  --cluster ${CLUSTER_NAME} \
  --tasks ${TASK_ARN})
echo ${RESULT}

EXIT_STATUS=$(echo ${RESULT} | jq .tasks[0].containers[0].exitStatus)
echo exitStatus ${EXIT_STATUS}
exit ${EXIT_STATUS}

注意点として、実行IAMユーザーを作成し、ECSタスクを起動できる必要最低限の認可スコープを紐付ける。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement":
    [
      {
        "Effect": "Allow",
        "Action":
          [
            "iam:PassRole",
            "ecs:RunTask",
            "ecs:DescribeServices",
            "ecs:DescribeTasks",
          ],
        "Resource":
          [
            "arn:aws:ecs:*:<AWSアカウントID>:service/*",
            "arn:aws:ecs:*:<AWSアカウントID>:task/*",
            "arn:aws:ecs:*:<AWSアカウントID>:task-definition/*",
            "arn:aws:iam::<AWSアカウントID>:role/*",
          ],
      },
    ],
}


ECSタスクのデプロイ手法

▼ ローリングアップデート

(1)

最小ヘルス率の設定値を基に、ローリングアップデート時の稼働中タスクの最低合計数が決定される。

(2)

最大率の設定値を基に、ローリングアップデート時の稼働中/停止中タスクの最高合計数が決まる

(3)

ECSは、既存タスクを稼働中のまま、新タスクを最高合計数いっぱいまで作成する。

(4)

ECSは、待機時間後にALB/NLBによる新タスクに対するヘルスチェックの結果を確認する。ヘルスチェックが成功していれば、既存タスクを停止する。ただし、最小ヘルス率によるタスクの最低合計数が保たれる。

(5)

『新タスクの起動』と『ヘルスチェック確認後の既存タスクの停止』のプロセスが繰り返し実行され、徐々に既存タスクが新タスクに置き換わる。

(6)

全ての既存タスクが新タスクに置き換わる。

rolling-update

▼ ブルー/グリーンデプロイメント

CodeDeployを使用してデプロイする。


プライベートサブネット内のFargateからVPC外のAWSリソースへのアクセス

ecs_vpc-endpoint

VPCエンドポイントの接続先 タイプ プライベートDNS名 説明
CloudWatchログ Interface logs.ap-northeast-1.amazonaws.com ECSコンテナのログをPOSTリクエストを送信するため。
ECR Interface api.ecr.ap-northeast-1.amazonaws.com
*.dkr.ecr.ap-northeast-1.amazonaws.com
イメージのGETリクエストを送信するため。
S3 Gateway なし イメージのレイヤーをPOSTリクエストを送信するため
Systems Manager Interface ssm.ap-northeast-1.amazonaws.com Systems ManagerのパラメーターストアにGETリクエストを送信するため。
Secrets Manager Interface ssmmessage.ap-northeast-1.amazonaws.com Secrets Managerを使用するため。

プライベートサブネット内のFargateからVPC外のAWSリソース (例:コントロールプレーン、ECR、S3、Systems Manager、CloudWatchログ、DynamoDB、など) にリクエストを送信する場合、専用のVPCエンドポイントを設ける必要がある。

NAT GatewayとVPCエンドポイントの両方を作成している場合、ルートテーブルでは、VPCエンドポイントへのリクエストの方が優先される。

そのため、NAT Gatewayがある状態でVPCエンドポイントを作成すると、接続先が自動的に変わってしまうことに注意する。

注意点として、パブリックネットワークにリクエストを送信する場合は、VPCエンドポイントのみでなくNAT Gatewayも作成する必要がある。


Fargate上のコンテナへの接続

▼ セッションマネージャーを使用したECS Exec

fargate_ecs-exec

セッションマネージャーを使用してECSタスク内のコンテナに接続し、コンテナのログインシェルを起動する。

Systems Managerを使用してコンテナに接続する場合、コンテナのホストにsystems-managerエージェントをインストールしておく必要がある。

ただし、FargateとしてのEC2には、systems-managerエージェントがプリインストールされているため、これは不要である。

(1)

ECSサービスで、ECS-Execオプションを有効化する。

(2)

VPCエンドポイントにて、ssmmessagesエンドポイントを作成する。

(3)

ECSタスク実行ロールにIAMポリシーを付与する。

これにより、ECSタスクがセッションマネージャーにリクエストを送信できるようになる。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement":
    [
      {
        "Effect": "Allow",
        "Action":
          [
            "ssmmessages:CreateControlChannel",
            "ssmmessages:CreateDataChannel",
            "ssmmessages:OpenControlChannel",
            "ssmmessages:OpenDataChannel",
          ],
        "Resource": "*",
      },
    ],
}
(4)

ECS Execの実行ユーザーに、IAMポリシーを付与する。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement":
    [
      {
        "Effect": "Allow",
        "Action": ["ecs:ExecuteCommand"],
        "Resource":
          [
            "arn:aws:ecs:*:<AWSアカウントID>:cluster/*",
            "arn:aws:ecs:*:<AWSアカウントID>:task/*",
          ],
      },
    ],
}
(5)

事前の設定がなされているか否かをecs-exec-checkerスクリプトを実行して確認する。

#!/bin/bash

ECS_CLUSTER_NAME=prd-foo-ecs-cluster
ECS_TASK_ID=bar

bash <(curl -Ls https://raw.githubusercontent.com/aws-containers/amazon-ecs-exec-checker/main/check-ecs-exec.sh) $ECS_CLUSTER_NAME $ECS_TASK_ID
(6)

ECSタスク内のコンテナに接続し、コンテナのログインシェルを起動する。bashを実行する時に、『/bin/bash』や『/bin/sh』で指定すると、binより上のパスもECSに送信されてしまう。

例えば、Windowsなら『C:/Program Files/Git/usr/bin/bash』を送信する。

これはCloudTrailでExecuteCommandイベントとして確認できる。

ECSコンテナ内ではbashへのパスが異なるため、接続に失敗する。そのため、bashを直接的に指定する。

#!/bin/bash

set -xe

ECS_CLUSTER_NAME=prd-foo-ecs-cluster
ECS_TASK_ID=bar
ECS_CONTAINER_NAME=laravel

aws ecs execute-command \
    --cluster $ECS_CLUSTER_NAME \
    --task $ECS_TASK_ID \
    --container $ECS_CONTAINER_NAME \
    --interactive \
    --debug \
    --command "bash"